自然と共に生きる知恵 ー 与論島の山さんに学ぶ健康と人との繋がり
皆さんは「与論島の山さん」という本を知っていますか?
表紙には青い空に白い砂浜。その中に佇む優しそうな山さん。
先日図書館に行った時、気になってしまい手にとって読んだ一冊の本。読んでいくうちに自然と涙が出てきた本。
今日はそんな山さんの本を読んで、中医学とも繋がる部分も多かった薬草博士の山さんについてご紹介します。
与論島の山さん
『与論島の山さん』を読んで、私は山さんの生き方に深く感銘を受けました。山さんは薬草を生活に取り入れ、人々を支える存在として、常に前向きで優しさに溢れていました。彼が生きる中で大切にしていたのは、人との繋がりと自然との調和でした。そして、その自然から得た知恵を活かして、健康を守るための心がけを実践していました。山さんの健康に対する姿勢には、多くの学びがあり、現代においても非常に参考になります。
山さんが大事にしていた食生活
山さんは、なるべく旬のものを食べることを心がけていました。旬の食材には、その時期に必要な栄養素が豊富に含まれており、自然のリズムに合わせた食生活が体の調子を整えてくれます。例えば、夏には体を冷やす効果のある食材、冬には体を温める食材が旬を迎えます。これらを取り入れることで、無理なく体調を整えることができるのです。
また、少しずつでも色々な種類のものを食べることも、山さんが大切にしていたポイントです。バランスの取れた食事は、特定の栄養素に偏ることなく、体に必要なものをバランスよく摂取できるようになります。現代の忙しい生活の中では、つい単調な食事や加工食品に頼りがちですが、山さんのように多様な食材を取り入れることで、自然からの恩恵を最大限に活かせます。
さらに、一度にたくさんの量を食べ過ぎないというのも、健康を保つための大切な知恵です。山さんは、腹八分目を心がけ、食べ過ぎることによる体への負担を避けていました。食べ過ぎは消化器官に負担をかけるだけでなく、過剰な栄養が体に蓄積され、健康に悪影響を及ぼすことがあります。少量ずつ、多種類の食材を食べることで、体に無理のない食生活が送れるのです。
生で食べられるものはなるべく生で食べるという山さんの考え方も、自然の恵みを最大限に活かす知恵です。生の食材には酵素やビタミンが豊富に含まれており、これらは加熱すると失われがちです。もちろん、食材によっては加熱が必要なものもありますが、可能な限り自然の形で摂取することで、体に必要な栄養素を効果的に取り入れることができます。
また、調味料として酢を中心に使うことや、糖類は蜂蜜か黒糖を使うことも、山さんが実践していた健康のための工夫です。酢には消化を助ける効果があり、体に溜まった疲労物質を分解してくれる働きもあります。現代では、加工された砂糖が多く使われていますが、山さんは自然由来の甘味料を選んでいました。蜂蜜や黒糖は、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、ただの甘味料ではなく、体に優しい栄養素も補ってくれます。
山さんのこうした健康に対する心がけは、現代の私たちにとっても非常に参考になります。忙しい日々の中で、食事が単なる栄養補給になりがちですが、山さんのように自然の恵みを大切にし、体に無理をさせない食生活を送ることで、心身ともに健康を保つことができます。
中医学では、サラダなどあまり生で食べると体が冷えてしまう、とも言われてはいます。
ただ、与論島のような暖かい地域では、生で食べる方が良い、ということもあるのかもしれません。何が自分の体に合ってるのか、これが絶対良いというのは無いので、それもまた、良いんだろうなと思いました。それが中道なんだろうなと。
与論島の山さんを読み進めていくと
本書を読み進めていく中で、私は山さんの薬草を取り入れた生活に深い感銘を受けました。山さんは、薬草を用いるだけでなく、自然の恵みを大切にしながら、健康的な生活を送り、人々を支えてきました。その生き方は、まるで中医学(Traditional Chinese Medicine)と共通する部分が多く見られます。自然の力を活かし、身体に良いものを取り入れるという考え方は、昔からの知恵に基づいており、山さんの知識と経験に裏打ちされた生き方はとても素晴らしいものだと感じました。
山さんが大事にしていた、自分ではなく、誰かのために
何よりも山さんの生き方に感銘を受けたのは、彼が常に人との繋がりを大切にしていたことです。薬草を通じて様々な人々と繋がり、その繋がりを大切にしながら生きる姿は、現代社会において忘れがちな「人と人との絆」の重要性を再認識させてくれます。山さんは、ただ健康でいるためだけでなく、その健康を通じて人々を支え、周囲との調和を大切にしていました。
また、与論島に伝わる「骨洗い」という風習にも、人の死を悼む深い意味が込められていると感じました。亡くなった人の骨を海水で洗い、再び納骨することで、死後も大切な繋がりを保ち続けるこの儀式は、現代の忙しさの中で見失いがちな「命の循環」を思い出させてくれます。
悲しい負の歴史にも触れていた与論島の山さん
沖縄戦の際、米軍が次に与論島に上陸することが予想されていました。そのため、本土から来た軍人が島民で防衛隊を組織しました。その時、日本兵から島の人々に出された命令は、米軍が上陸してきたら、全員が一箇所に集まり、玉砕(全滅)しろというものでした。
しかし、この命令に対して、島の人々を守るために立ち上がった人物がいました。その人は、命令に従うのではなく、全員が一箇所に集まるのではなく、各自がそれぞれの避難場所で自決するよう掛け合ったのです。この行動は、軍人の命令に逆らうものでした。
結局、米軍が与論島に上陸することはなく戦争は終わりましたが、もし上陸していた場合、その人物が考えた「集団で玉砕せず、助け合って生き延びる方法」が島の人々を救ったかもしれません。この人にとっての「戦い」とは、米軍との戦闘ではなく、上からの命令に逆らい、いかにして命を守るかを考えることだったのです。
この話から感じ取れるのは、戦争の残酷さや時代の暗さだけではなく、そんな中でも人々の命を守ろうとした勇気ある行動があったということです。命令に逆らうことがどれほどのリスクを伴ったか想像するのは難しいですが、その人の行動には、命の重さを感じ、深く感銘を受けました。
まとめ
山さんの生き方には、自然と調和し、人と繋がり、心と体を健やかに保つための知恵が詰まっています。私たちも、彼のように日々の生活の中で少しずつ意識を変えることで、より健康的で豊かな人生を送ることができるのではないでしょうか。
トートゥガナシ