中国医学の基本概念、寒・熱は体調不良に関係してる?

中国医学では、人の体調や病の状態を捉える際に、「寒(かん)」と「熱(ねつ)」という二つの重要な指標なんです!

この寒・熱は、気温のような単なる外的な冷たさや暑さを意味するだけでなく、体の内側のバランスや、病の性質、体質までも表す根本概念です。

前回ご紹介した「六淫」の中でも「寒邪」「熱邪」は特に人の体調に大きな影響を及ぼす要因であり、季節や生活習慣との関係も深く、私たちの健康管理において重要な視点となります。


「寒」と「熱」とは何か?〜表裏一体の性質〜

漢方でいう「寒熱」は、次のような特徴を持っています。

寒(かん)はどのような性質を持ってるの?

  • 陰性の性質を持つ
  • エネルギー(陽気)の不足や、寒邪の侵入によって起こる
  • 血流や代謝を低下させる
  • 身体の機能が“停滞”する方向へ働く

熱(ねつ)はどのような性質を持ってるの?

  • 陽性の性質を持つ
  • 陽気の過剰、または陰液の不足によって起こる
  • 炎症や興奮、乾燥などを引き起こす
  • 身体の機能が“過剰に亢進”する方向へ働く

「寒」と「熱」のバランスが崩れると、さまざまな不調を生む原因になると言われています。

たとえば、体が冷えて血行が悪くなると胃腸の働きが低下し、食欲不振下痢といった症状が出やすくなります。

逆に、熱がこもって炎症が起きると、のぼせ、便秘、ニキビなどが出やすくなるのです。


寒熱による症状の違いと体質は?

中国医学では、病や体調の評価に「証(しょう)」という診断概念を使っていきます。

その中で、「寒証」か「熱証」かを見極めることで治療方針の一部が決まります。

【寒証】の主な症状

  • 顔色が青白い
  • 手足の冷え、寒がり
  • 下痢、尿量が多く透明
  • 舌が白く湿っている
  • 温かい飲食物を好む
  • 疲れやすい、無気力

【熱証】の主な症状

  • 顔が赤く、のぼせる
  • 喉の渇き、冷たい飲食を好む
  • 便秘、尿が黄色く少ない
  • 舌が赤く、苔が黄色い
  • いらいら、寝汗、微熱
  • 肌荒れ、ニキビ、炎症

多くの人は完全な寒体質・熱体質ではなく、季節や食生活、ストレスなどによって寒熱のバランスが変動します。そのため、漢方では常に「今、体が寒に傾いているか?熱に傾いているか?」を観察し、柔軟に対応することが求められます。


寒熱がもたらす代表的な体調不良をご紹介

  1. 風邪(感冒)
    • 寒邪が原因 → 「風寒感冒」:悪寒、透明な鼻水、関節痛(例:葛根湯)
    • 熱邪が原因 → 「風熱感冒」:喉の痛み、発熱、黄色い痰(例:銀翹散)
  2. 胃腸障害
    • 寒により胃腸が冷えると:食欲不振、下痢、腹痛
    • 熱により胃腸が荒れると:口臭、口内炎、便秘
  3. 婦人科系の症状
    • 寒邪 → 冷えによる月経不順、生理痛
    • 熱邪 → のぼせ、イライラ、月経前の吹き出物や乳房の張り
  4. 自律神経系の乱れ
    • 「冷えのぼせ」や「寒熱錯雑(さくざつ)」の状態もあり、下半身は冷えているのに上半身は熱くなるなど、複雑な症状も多い

日常生活で寒熱バランスを整えるには

体の寒熱を整えるためには、自分の体質や季節に応じた「食事」「服装」「睡眠」「ストレスケア」が重要です。

寒を感じやすい人はどうすれば良い?

  • 生姜、ねぎ、シナモン、羊肉、味噌汁など温性の食材を
  • 冷たい飲み物や生野菜を控える
  • 足元やお腹を冷やさないようにする

熱を感じやすい人はどうすれば良い?

  • ゴーヤ、豆腐、緑豆、苦瓜、菊花茶など清熱の作用がある食材を
  • 香辛料、揚げ物、アルコールの摂りすぎに注意
  • 睡眠を十分にとり、イライラの解消を心がける

まとめ:寒熱の理解は「未病」を防ぐ第一歩

現代人の生活環境は、冷暖房や不規則な食生活、ストレスなどにより、知らず知らずのうちに寒熱のバランスを崩しやすくなっています。

漢方の「寒熱」という視点は、今の自分の状態を見直し、病気になる前に気づいて予防する“未病”のための知恵です。「暑い日だけど足は冷えていないか?」「イライラが続いて肌が荒れていないか?」など、日々の変化を観察することで、体と心のバランスを整えていくことができます。

疲れてると思ったらとりあえずいっぱい寝るのも大事ですよね!

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