東洋医学でいう気血水の気って何?気が足りない(気虚)と病気になる?

東洋医学における「気血水」の「気」とは?
東洋医学では、人体の健康を維持する基本要素として 「気・血・水(き・けつ・すい)」 という概念があります。
「気(き)」は、生命エネルギーのようなもので、身体を動かし、内臓の働きを調整し、病気から身を守る重要な役割を果たします。

東洋医学における「気」の役割とは?
「気」は、5つの働きがあるんです!
- 推動作用(すいどうさよう)
- 血液や水分の流れを促し、代謝を活発にする。
- 温煦作用(おんくさよう)
- 体を温め、適切な体温を維持する。
- 防御作用(ぼうぎょさよう)
- 免疫力を高め、病気を防ぐ。
- 固摂作用(こせつさよう)
- 血液や汗が必要以上に漏れ出ないようにする。
- 気化作用(きかさよう)
- 飲食物からエネルギーを作り出し、必要なものと不要なものを分ける。

東洋医学における「気血水」の「気」に問題があるときは?
「気」が不足したり(気虚)、滞ったり(気滞)、逆流したり(気逆)すると、さまざまな不調が現れるんです!
気に関する不調について
- 気虚
- 気滞
- 気逆
気虚(ききょ)— 気が不足している状態
気虚の特徴とは
「気」を十分に作れない、あるいは消耗しすぎてしまい、エネルギー不足の状態。
主な症状
- 疲れやすい、倦怠感
- 息切れしやすい
- 風邪をひきやすい(免疫力の低下)
- 食欲不振、消化不良
- 手足の冷え
- めまい、動悸
主な原因
- 過労や睡眠不足
- 栄養不足(気を生み出せない)
- ストレス(消耗が激しくなる)
- 加齢(気を作る力が低下する)
改善方法
- 栄養のある食事(米、芋類、大豆、ナツメ、高麗人参、鶏肉など)
- 規則正しい生活(十分な睡眠・適度な運動)
- 漢方薬(補中益気湯(ほちゅうえっきとう)など)

気滞(きたい)— 気の流れが滞っている状態
気滞の特徴とは
「気」は本来、体内をスムーズに巡っていますが、ストレスや生活習慣の乱れによって流れが悪く
主な症状
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 喉や胸が詰まった感じ(梅核気:喉に何か詰まっているような感覚)
- 胃の張りや膨満感(食後に胃が重い、ゲップが多い)
- お腹が張って苦しい(特にストレス時)
- 月経不順や生理痛(気の流れが悪いと血の巡りも悪くなる)
主な原因
- 精神的ストレス(怒りや悩み)
- 過度な緊張や不安
- 長時間の座り仕事や運動不足
- 油っこい食事や冷たいものの摂取
改善方法
- リラックスする(深呼吸、趣味の時間を持つ)
- 軽い運動をする(ウォーキングやストレッチ)
- 食生活を改善する(温かいものや香りの良い食材を摂る:陳皮・生姜・紫蘇など)
- 漢方薬(加味逍遥散(かみしょうようさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など)

気逆(きぎゃく)— 気が逆流している状態
気逆の特徴とは?
通常、気は 「上から下へ」、あるいは 「内から外へ」 流れるものですが、逆方向に流れてしまう状態が「気逆」です。
主な症状
- 動悸・めまい(気が上に昇りすぎる)
- のぼせ、顔のほてり(気が上に偏る)
- 頭痛、目の充血(気が頭部に集中)
- 咳、喘息(気が上向きに流れるため、咳が止まらない)
- 吐き気、嘔吐(胃の気が逆流する)
- しゃっくり(横隔膜の痙攣で気が急上昇する)
主な原因
- ストレスや怒り(肝の気が上昇しやすくなる)
- 暴飲暴食(胃の気が乱れ、吐き気やげっぷが増える)
- コーヒーやアルコールの摂取過多(交感神経が過度に刺激される)
改善方法
- リラックスを心がける(ストレスを減らす)
- 温かい飲み物をとる(生姜湯、ハーブティーなど)
- 深呼吸や軽いストレッチ(気の流れを整える)
- 漢方薬(半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)など)

まとめ
気虚(ききょ) | 気滞(きたい) | 気逆(きぎゃく) | |
---|---|---|---|
原因 | 気が不足している | 気が滞っている | 気が逆流している |
主な症状 | 疲れやすい、冷え、免疫低下 | イライラ、胸や喉のつかえ、胃の張り | 動悸、めまい、咳、吐き気、のぼせ |
主な原因 | 過労、睡眠不足、栄養不足 | ストレス、緊張、運動不足 | 怒り、暴飲暴食、コーヒーやアルコール過多 |
対策 | 栄養補給、休息、漢方 | リラックス、運動、香りの良い食材 | 深呼吸、温かい飲み物、漢方 |
「気」は、生命活動を支えるエネルギーであり、不足すると疲労や免疫力低下などの不調が現れます。健康を維持するためには、バランスの良い食事、適度な運動、十分な休息を心がけることが大切です。東洋医学では、「気」を整えることで、病気を未然に防ぎ、元気な体を作ることができると考えられています。
何か当てはまる症状があれば、ゆっくり養生していくのが、病気になる前の未病で防げるサインかもしれません!